【衛生講話】症状がないからと放置していませんか? 健康診断「再検査」の重要性と心のケア
健康診断の結果が手元に届き、「要再検査」「要精密検査」の文字を見て見ぬふりをしていませんか。 「どこも痛くないし、体調も悪くないから」「仕事が忙しくて病院に行く時間がないから」と、用紙を引き出しの奥にしまい込んでいる方は少なくありません。
しかし、自覚症状がないからといって異常値を放置することは、身体へのダメージを蓄積させるだけでなく、「心の健康」にも見えないストレスを与え続けます。今回は産業医・精神科医の視点から、再検査の本当の意味と、放置することの恐ろしさ、そして受診に向けた具体的なアクションについて詳細に解説します。
1.「要再検査」=「重い病気」ではありません
健診結果の判定にショックを受け、不安から「病院に行くのが怖い」と感じてしまう方がいます。しかし、「要再検査」や「要精密検査」という結果は、直ちに重篤な病気が確定したわけではありません。
・身体からの「注意喚起(イエローカード)」
一時的な体調の波や、前日の食事の影響で数値が外れてしまった可能性もゼロではありません。
・白黒はっきりさせるための確認作業
本当に治療が必要な状態なのか、それとも経過観察でよいのかを正確に見極めるための重要なステップです。
・生活習慣を見直す絶好のチャンス
この段階で気付き、食事や運動などの生活習慣を改善することで、数値が正常に戻るケースも多々あります。
2.自覚症状がないまま進行する「放置の恐怖」
生活習慣病の最大の特徴であり、最も恐ろしい点は「限界を迎えるまで、痛みや苦しさといった自覚症状が全く現れない」ことです。
| 異常がある項目 | 放置することで引き起こされる重大なリスク |
|---|---|
| 高血圧・脂質異常 | 動脈硬化を悪化させ、血管を内側からボロボロにします。ある日突然、脳血管障害(脳梗塞や脳出血)や心筋梗塞など、命に関わる疾患を引き起こす直接的な原因となります。 |
| 肝機能の異常 | 肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれます。異常を放置すると、肝炎や脂肪肝が静かに進行し、より重篤な肝硬変などの疾患へ発展する危険があります。 |
| 腎機能の異常 | 慢性腎臓病(CKD)となり、一度失われた機能は元に戻りません。重症化すると、生涯にわたって定期的な人工透析が必要になるケースもあります。 |
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3.産業医が指摘する「未受診」がメンタルに与える悪影響
精神科・心療内科の領域において、「再検査に行かずに放置している状態」は、メンタルヘルスに多大な悪影響を及ぼすと考えられています。
- 見えない不安の蓄積
「結果が悪かったのに病院に行っていない」「本当は病気かもしれない」という事実そのものが、心の奥底で常に不安感(慢性的なストレス)として蓄積し続けます。 - パフォーマンスの低下と睡眠障害
健康への潜在的な不安は、自律神経のバランスを崩し、睡眠の質を低下させます。その結果、日中の集中力低下や気分の落ち込みを招き、仕事のパフォーマンスを大きく落としてしまいます。 - 悪循環への転落
不安やストレスを紛らわすために、無意識のうちに「過度な飲酒」や「暴飲暴食」に走ってしまい、さらに身体の数値を悪化させるという負のループに陥る方が非常に多いのです。
4.再検査はどこで受ける? 受診のための具体的なステップ
「再検査」を受ける場所は任意です。ご自身のライフスタイルに合わせて、無理なく受診できる医療機関を選びましょう。
・同じ病院(健診センター等)を受診する場合
すでに病院側に健診時のデータが揃っているため、検査まで非常にスムーズに進行します。紹介状を持参する必要もありません。
・違う病院(近隣のクリニック等)を受診する場合
仕事帰りや休日に通いやすい、ご自宅や職場の近くのクリニックで受診することが可能です。ただし、必ず「健康診断の結果用紙」を持参してください(大きな病院を受診する場合は紹介状が必要になるケースがあります)。
※再検査や精密検査にかかる費用は基本的に自己負担となりますが、健康保険が適用されます。
最後に:ご自身の未来を守るための第一歩を
健康診断の結果用紙をサッと見て終わりにしてしまうのは、非常にもったいないことです。「気になる数値」は、ご自身の働き方や生活習慣の乱れを振り返るための、体からの大切なメッセージです。
一人で不安を抱え込んで見て見ぬふりをするのではなく、まずは通いやすい医療機関へ足を運び、医師にご相談ください。結果にしっかりと向き合い、適切に対処することが、心身ともに健やかな毎日を送るための最も確実な投資となります。

