抗不安薬について(種類と特徴)抗不安薬

「抗不安薬(精神安定剤)」は、過剰な不安や緊張、恐怖感を和らげ、心身をリラックスさせるお薬です。

即効性があるものが多く、「パニック発作が起きそうな時」や「極度の緊張で動悸や息苦しさがある時」などに、頓服(症状が出た時や出そうな時に飲むこと)としても非常によく使われます。

当院では、患者さんの不安の強さや、お薬の作用時間(効き目の長さ)、副作用へのご懸念などを総合的に判断し、依存のリスクに最大限配慮しながら最適なお薬を処方いたします。

当院でよく処方する主な抗不安薬

作用時間(効いている時間の長さ)や、効き目の強さによっていくつかの種類に分けられます。よく使われる代表的なお薬の特徴をご説明します。

短時間〜中時間作用型(即効性があり、数時間〜半日ほど効くタイプ)

不安が強い時や、発作の頓服としてよく使われます。

クロチアゼパム(商品名:リーゼ®)
特徴:抗不安薬の中で最も作用がマイルドで、副作用(眠気やふらつき)が少ないお薬です。「初めて精神科のお薬を飲む」という方や、軽い緊張、心身症(胃痛や動悸など)に対して非常に使いやすく、日常生活や仕事への影響が出にくいのが特徴です。

エチゾラム(商品名:デパス®)
特徴:即効性があり、不安を和らげる効果がしっかりとしているお薬です。また「筋肉の緊張をほぐす作用」が強いため、肩こりや緊張型頭痛を伴う不安、不眠に対してもよく処方されます。ただし、効果がシャープな分、漫然と使い続けると依存(お薬が手放せなくなること)のリスクがあるため、医師の指示のもとで適切に使用する必要があります。

・ロラゼパム(商品名:ワイパックス®)
特徴:不安を抑える効果が強く、即効性にも優れています。パニック障害の強い不安や、息苦しさなどの身体症状に対してもよく使われます。筋肉をほぐす作用はデパスより弱いため、ふらつきなどは比較的起こりにくいとされています。

・アルプラゾラム(商品名:ソラナックス®、コンスタン®など)
特徴:ワイパックスと同様に、抗不安作用が強く即効性があります。特に「パニック障害」における予期不安(また発作が起きるのではないかという不安)や、うつ病に伴う不安感に対して非常によく用いられる、バランスの良いお薬です。

超長時間作用型(1日1回の服用で、ゆっくり長く効くタイプ)

血中濃度が常に安定するため、1日を通して不安を感じやすい方に適しています。

・ロフラゼプ酸エチル(商品名:メイラックス®など)
特徴:効果が非常に長く続くため、1日1回の服用で1日中穏やかなリラックス効果が得られます。効き目がゆっくりと体から抜けていくため、短時間作用型のお薬に比べて「依存性」や「離脱症状」が非常に起こりにくいという大きなメリットがあります。他のお薬から減薬していく際の切り替え(置き換え)として使われることもあります。

抗不安薬に関する「よくあるご不安」

抗不安薬を安全に使用するために、知っておいていただきたいポイントです。

Q. 依存症にならないか、やめられなくならないか怖いです。
A. 抗不安薬は、医師の指示された量や回数を守って飲んでいる限り、重篤な依存症になることはまずありません。しかし、「不安だから」と自己判断で飲む量や回数をどんどん増やしてしまうと、お薬がないと落ち着かなくなるリスクが高まります。当院では、依存のリスクを最小限に抑えるため、必要最小限の量・期間での処方を心がけ、症状が落ち着いてきたら少しずつ減薬していくサポートを行います。

Q. 飲むと眠くなったり、仕事に支障が出たりしませんか?
A. 不安や緊張を和らげる(リラックスさせる)お薬ですので、飲み始めや、お薬が効きすぎた場合には「眠気」や「ふらつき」が出ることがあります。特に、自動車の運転や危険な機械の操作は控えていただく必要があります。眠気が強い場合は、お薬の種類を変えたり、量を減らしたりすることで調整できますので遠慮なくご相談ください。

Q. お酒と一緒に飲んでもいいですか?
A. お薬を飲んでいる期間の飲酒は、原則としてお控えください。アルコールと一緒に飲むと、お薬の作用(眠気やふらつき)が強く出すぎたり、記憶が飛んでしまったりする危険性があります。