脳・心疾患について:2024年9月

突然の命の危機を防ぐ「脳・心疾患」対策 〜過労・ストレスとの深い関係〜

ある日突然、前触れもなく命を奪ったり、重い後遺症を残したりする「脳血管疾患」や「心疾患」。これらは日本人の死因の上位を占める重大な病気です。

「まだ若いから大丈夫」「ただの疲れだから」と無理を重ねていませんか?

実は、これらの疾患は単なる加齢や生活習慣の乱れだけでなく、職場の「長時間労働」や「慢性的なストレス」と非常に密接に関わっています。

今回は、産業医の視点から、脳・心疾患の基本的な知識と、過労やストレスが血管に与える影響、そして今日からできる予防アクションについて詳しく解説します。

目次

1. 脳・心疾患とは?(主な種類と初期サイン)

脳や心臓の病気は、主に「血管が詰まる」あるいは「血管が破れる」ことで起こります。発症時は一刻を争うため、初期サインを見逃さないことが重要です。

脳血管疾患(脳卒中)

脳の血管に異常が起き、脳細胞に血液がいかなくなる病気です。

病名状態主な初期サイン(FAST)
脳梗塞血管が詰まるFace(顔の片側が下がる、歪む)
Arm(片腕に力が入らない)
Speech(言葉が出ない、ろれつが回らない)
Time(すぐに救急車を呼ぶ)
脳出血血管が破れる突然の激しい頭痛、吐き気、手足の麻痺
くも膜下出血脳表面の動脈瘤が破裂するバットで殴られたような、経験したことのない激しい頭痛

心疾患(虚血性心疾患)

心臓の筋肉(心筋)に血液を送る冠動脈が狭くなったり詰まったりする病気です。

病名状態主な初期サイン
狭心症血管が狭くなり、一時的に血流が不足する胸が締め付けられるような痛みや圧迫感(数分で収まることが多い)
心筋梗塞血管が完全に詰まり、心筋が壊死する胸の激しい痛み(冷や汗や吐き気を伴い、20分以上続く)

2. 産業医が警鐘を鳴らす「過労・ストレス」との深い関係

脳・心疾患は、労災認定において「過労死」の対象となる代表的な疾患です。では、なぜストレスや過労が脳や心臓を破壊するのでしょうか。

  • 交感神経の過剰な緊張(血圧スパイク)慢性的なストレスや睡眠不足が続くと、自律神経のうち「交感神経(興奮モード)」が常に優位になります。すると、血管が収縮し、血圧が常に高い状態(あるいは乱高下する状態)となり、血管の内壁を傷つけ続けます。
  • ストレス行動による動脈硬化の加速強いストレスを抱えると、それを紛らわすために「過食」「過度な飲酒」「喫煙量の増加」といった不健康な行動(コーピング)に走りがちです。これが脂質異常症や糖尿病を引き起こし、血管をドロドロ・ボロボロにする「動脈硬化」を一気に加速させます。

3. あなたは大丈夫?「脳・心疾患リスク」セルフチェック

以下の項目で、複数当てはまる方は、血管への負担が限界に近づいているサインかもしれません。

  • ☐ 健康診断で「血圧」「脂質」「血糖」のいずれかで異常を指摘され、放置している
  • ☐ 月の時間外労働(残業)が45時間を超える月が複数回ある
  • ☐ 睡眠時間が慢性的に6時間未満、または休日に寝だめをしている
  • ☐ ストレスを感じると、お酒の量やタバコの本数が極端に増える
  • ☐ 最近、階段を上るだけで胸が苦しくなったり、動悸がしたりする

4. 職場と家庭でできる!命を守る4つの予防策

血管の老化やダメージは、日々の生活習慣の改善で食い止めることができます。

① 健診結果の「徹底活用」

「異常なし」以外の判定が出た場合は、必ず医師の診察を受けてください。特に「高血圧」は自覚症状がないまま血管を破壊するサイレントキラーです。適切な服薬でコントロールすることが最大の予防です。

② 「睡眠負債」の返済と休息

睡眠は、興奮した交感神経を鎮め、傷ついた血管を修復する唯一の時間です。最低でも1日6〜7時間の睡眠時間を確保し、就寝前のスマートフォン操作(ブルーライト)を控えて睡眠の質を高めましょう。

③ 食生活の改善(特に「減塩」)

日本人の高血圧の最大の原因は「塩分の摂りすぎ」です。外食やコンビニ弁当が続く場合は、麺類の汁を残す、減塩調味料を選ぶなど、意識的なコントロールが必要です。

④ ストレスへの早めの対処(メンタルケア)

「仕事が終わらない」「人間関係が辛い」といった心理的負荷は、放置すると身体疾患の引き金になります。一人で抱え込まず、上司や産業医、人事部門など、周囲に助けを求める(SOSを出す)スキルも重要な予防策の一つです。

まとめ:身体のサインを見逃さない

脳・心疾患は、発症してしまうと取り返しのつかない事態になりかねません。しかし、その背景にある「過労」「ストレス」「生活習慣の乱れ」に早く気づき、適切に対処することで防ぐことができます。

自分自身の体調変化に敏感になり、少しでも「おかしいな」と思ったら無理をせず、周囲を頼り、適切に医療機関を受診する勇気を持ちましょう。健やかなワークライフは、健康な血管と心があってこそ成り立ちます。

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