「酒は百薬の長」は本当か? 〜在宅時代のお酒との上手な付き合い方〜
在宅勤務や外出自粛などを経て、自宅でお酒を飲む機会が定着し、つい飲み過ぎてしまっている方は少なくありません 。
適度な飲酒はリラックス効果をもたらしますが、量を誤ると心身の健康を大きく損なう原因となります。今回は産業医・精神科医の視点から、アルコールの適正量と、健康を維持するための正しい飲み方、そして依存症のリスクチェックについて詳しく解説します。
1.「酒は百薬の長」の真実と最新の研究結果
昔から「適度な飲酒は死亡リスクを下げる(酒は百薬の長)」と言われてきました 。しかし、最新の医学論文(2018年のLancet誌など)では、この常識が見直されています 。
現在の医学的な結論としては、「お酒は飲まない方が良い」とされています 。とはいえ、少量の飲酒であればリスクの上昇はわずかであることも分かっています 。健康を維持するためには、自分の適量を正しく知り、安全にコントロールすることが何よりも重要です。
2.知っておきたい「1日の適量」とストロング系の罠
厚生労働省(健康日本21)が推奨する「節度ある適度な飲酒量」は、純アルコール量にして「1日平均20g」です 。毎日厳密に守るのが難しい場合は、1週間の総量として「140g」を目安にバランスをとっても構いません 。
アルコール度数の高い「ストロング系」のチューハイなどは、1本飲むだけで純アルコール量が25gに達してしまいます 。手軽に酔える一方で、あっという間に1日の適量を超えてしまうため、飲む量や頻度には特に注意が必要です。
3.心と体を守る「快適な飲み方」4つのルール
お酒によるメンタルヘルス不調や身体疾患を防ぐため、日々の生活で以下のルールを習慣づけましょう。
- そもそも飲みすぎない: 1日20g(1週間で140g)の適正量を意識し、休肝日を設けながらバランスをとりましょう 。
- お酒と一緒に水を飲む: チェイサー(和らぎ水)を用意し、アルコールの血中濃度の急上昇や脱水を防ぎましょう 。
- 食事と一緒にゆっくり飲む: 空腹時の飲酒は胃腸への負担が大きく、酔いが回りやすくなります。食事を楽しみながらゆっくりとペースを保ちましょう 。
- 終わりを決めて、だらだら飲まない: 飲む時間帯や終了時間をあらかじめ設定し、際限なく飲み続けることを防ぎましょう 。睡眠直前の飲酒は睡眠の質を著しく低下させます。
4.あなたは大丈夫? 飲酒習慣のセルフチェックと判定
ご自身の飲酒習慣が危険な状態にないか、世界保健機関(WHO)が作成したテスト(AUDIT)等を用いた簡易検査法があります 。 「1度に多量に飲む頻度」「飲酒による罪悪感」「お酒のために予定通り行動できなかった経験」などを点数化し、以下のように判定します。ご自身の状態と照らし合わせてみてください 。
| 判定スコアの目安 | 現在の状態と取るべき対策 |
| 問題飲酒はないと思われる群 (0〜7点) | 引き続き「お酒は適量」を守り、節度ある飲酒を心がけましょう 。 |
| 危険性の高い飲酒者群 (8〜14点) | 飲酒問題が将来的に起きたり、あるいはすでに生じている可能性があります 。意識してお酒の量を減らしていきましょう 。 |
| アルコール依存症疑い群 (15点以上) | アルコール依存症の疑いがあります 。直ちに飲酒を控え、専門医療機関での受診をお勧めします 。 |
最後に:お酒は心身のバロメーター
「最近、お酒の量がコントロールできない」「ストレスを紛らわすために飲んでしまう」という場合、それは心が発している重要なSOSかもしれません。
お酒の力だけで無理にリラックスしようとするのではなく、適切な休息をとり、必要に応じて専門家へ相談する勇気を持ちましょう。


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